発熱とは?

発熱とは?

 

感染症対策により様々な場所で検温することが日常になりましたね。

風邪をひいたり、調子の悪い時、『熱は?』と、よく聞かれますし、聞いてしまったりしますよね?とても身近な症状なのですが、では何がいけなくて熱を確認するのか、どういうものなのか?意外と知ってる人は少ないのではないでしょうか。

 

人は、生命を維持するために脳の働きによって外部の環境が変わっても、体温など体内の環境は常に一定になるように調節されています。

簡単にいうと、外の情報を感じるセンサーが皮膚や血管にあり、暑さや寒さを感じると、その情報を脳に伝えます。情報を受けた脳は、寒いときには筋肉を震わせて体を温めたり、暑いときには汗腺や血管などに命令を出して体を冷やしています。

 

体内に、ウイルスや細菌など体にとって異物が侵入してくると、脳は体温を上げようとします。これは体の免疫力が最も高まる温度に体温を整える反応と考えられており、この反応が熱と考えられています。

 

では、正常な体温って何度くらいだと皆さん思っていますか?

なんとなく、36.5℃くらいが平熱で正常くらいに思われているのではないでしょうか。だから37℃もあったら熱だと考える方は多いと思います。

では熱が出た!とは何度なのでしょう?

 

感染症法という法律の中の定義では、37.5℃以上を「発熱」、38.0℃以上を「高熱」としています。

しかし、これには医学的な根拠はありません。というのは、体温の正常値は非常に個人差が大きいからです。なので、自分が発熱しているかどうかを知るためには、健康な状態のときの体温を知っておく必要があります(この体温を平熱といいます)。例えば、平熱が高めであれば37℃台前半ぐらいの体温は正常、平熱が低めの人にとっては異常、といえます。なので、予め自分の体調が良い日に定期的に体温を何度か測ってみて、平熱を把握しておくとよいです。

 

 

解熱剤は飲んだ方がいいのか?

 

熱が出たら薬局で市販薬を購入、または病院で解熱剤を処方されて服用することはよくあると思います。お医者さんから処方されるのだから必ず飲んだ方がよいと思う方が大半だと思いますが、こういった解熱剤は飲まないほうがいいということを聞いたことはありませんか?一体どっちなのでしょうか。

 

解熱剤の治療効果については、実ははっきりとした統一の見解はないそうです。発熱して最も重い病気として「敗血症」がありますが、解熱剤の効果を調べた研究がたくさんあるにもかかわらず、解熱剤の効果で敗血症の生存率が上がったという成果は今のところないそうです。

 

だからと言って、解熱剤は飲まなくていいということではありません。熱によって苦しく、体力を奪われる、疲れるなど、解熱剤を飲んで熱を下げることでこれらの負担を取り除けるなら飲んだほうがいいと思われます。ただ、熱による症状があまり気になければ飲まなくてもいい、ともいえるかもしれません。

 

注意していただきたいのは熱中症の時です。毎年のように真夏に話題に上がりますが、これは高い外気温や多湿により、体温を一定に保つ脳の働きが追い付かなくなり体温が上がってしまった状態です。

なので「熱」と区別されて、「高体温症」といいます。解熱剤は脳の体温調節機能に働きかける薬がほとんどなので、熱中症のときに解熱剤を飲んでも効きませんので、まず水分補給、さらに体表から水や氷、風を当てるなどして体温を下げてください。

 

いずれにせよ、平熱を知ることだけでなく、血圧や呼吸量など健康診断を受けるなどして、普段の健康な状態の自分の標準値を知ることで、身体の異常に早く気付くことが大切です。